1pA以下の超低電流まで測定するというのは、大変な特殊技術です。多くの方々が指摘されているように、測定系全体の物理的構成や保管方法、洗浄方法などかなり気を使いながら行なう必要があります。アナログメーカーとしては、J-FETやMOS-FET入力のOPアンプがポピュラーになっている現在、その入力バイアス電流をどのように測定してスペック保証するのかという大きな問題があります。 この測定方法については、別に項を改めて紹介したいと思います。
低電流測定するにはいくつかの方法がありますが、一般的なものは低バイアス電流のOPアンプ(エレクトロメータ用と称されています)を用いた電流電圧変換器か、積分器を使用した回路でしょう。そのためにいくつかのOPアンプが紹介されていますが、ここで紹介するアンプは、ICアンプが今のところまったく到達できない優れた低バイアス性能を持っています。データシートを添付しますのでご覧ください。(ファイル圧縮しすぎて読みにくくなりました。すいません) かってアナログ社で製造、販売していたOPアンプですが、今は製造していません。しかしこのアンプの製造、販売権はIntronicsという会社に移され、今でもIntro社で製造され、一般に販売されています。日本ではアナログテック社が販売店として扱っていますので、入手可能なはずです。(下記のテック社のサイトをご覧ください)
さてこの310,311というOPアンプは、シールドを兼ねたダイキャストケースに入ったモジュールです。ピンを除いて8cm×4.2cm×1.8cmぐらいの6面金属パッケージで、ピンはテフロンのブッシュを通してケースから出ています。(分厚いダイキャストで武器になりそうなぐらい頑丈です) 内部は、ほぼ全てディスクリート部品で構成されています。
このアンプの最大の特徴は、10fAmaxという入力バイアス電流です。実際の実力値は、周囲の条件にもよりますが数fAというところです。このアンプを使うための特性のソケットも要されていて、ピンは全てバージンテフロンのソケットで受けるようになっていて、高インピーダンスの回路はこのテフロン端子間で行なうようになっています。 そしても回路部分はやはり専用のシールドカバーにより全体を覆うことができるようになっています。(アンプそのものは、ケースによりシールドされる) 実システムでは、この回路部分を密閉したケースに入れて、除湿材も一緒に封入したことがあります。露出したままだと、日本の梅雨時には、性能が出ませんでした。パッケージや基板、高抵抗部品の表面を流れる電流の方が、入力電流より大きくなったのではないかと思います。
このアンプの回路的な特長は、低バイアスを得るために入力がバラクタ・ダイオード・ブリッジになっているということです。入力電圧によりこのブリッジのCのバランスが崩れることにより、信号を伝送しました。このブリッジはAC励起で一度信号をACにするので、動作としてはチョッパーアンプのように見えます。この辺の説明はデータシートをご覧ください。入力のバラクタ・ダイオードのペアをうまくセレクトすることが、このアンプの最も重要な回路要素になります。310と311はその特殊な入力構成のため、反転入力と非反転入力が等価ではなく、反転回路用と非反転回路用でモデルが異なります。310が電流・電圧変換などに使用する反転型、311は非反転型です。
ICタイプのOPアンプでも1pA以下の低バイアス・アンプがでてきていますが、まだ310,311に追いつ
くものはありません。これらのアンプは、誕生以来40年近く現役で使われていまが、この低バイアスという特殊技能のおかげだとおもいます。
アナログテック株式会社のサイトURL
http://www.analogtech.co.jp/