せっかくMRIの話が出たので、少し技術ネタを。MRI(Magnetic Resonance Imaging)診断装置は、NMRI(Nuclear Magbetic Resonance Imaging)診断装置とも呼ばれますが、その日本語訳が「核磁気共鳴画像診断装置」ということで、”核”という言葉へのマイナスイメージで日本では最近使われることがなくなってきました。Nuclearの意味にはもちろん核兵器の意味もありますが、ここでは原子核ということです。日本以外ではNMRあるいはNMRIという言葉も普通に使われています。
この装置は人間のからだの中にある水素に高周波(定常磁界の強さにより特定の周波数が決まっている)の磁界をあて、その原子核のスピン運動の共鳴によるエコーをとらえて内部の画像を映し出します。水素は水(H2O)の中にありますから、水の塊である人間のからだをプローピングするには大変便利です。誤解を恐れず単純に言えば水気の分布の違いで、画像が作られます。もちろん人間以外も、動物などもOKです。エコーを得るためのAC磁界は大きなコイルで発生させますが、どこの場所にその焦点を当てるか制御する必要があります。そのため、MRIの筒の周りには定常磁界を作るコイルとともに、磁界の強さを傾けてかける、傾斜磁界用コイル(Gradient Magnet Coil)があります。この斜め磁界の制御が、結構大変です。最近では、より高精度の画像をということで、AC磁界の周波数が高くなりDC磁界が強力になってきています。細かいフォーカスの制御が必要ということで、この斜め磁界の盛業にも高分解能が要求されます。
高精度のMRIシステムでは、ここに18bit~20bitもの分解能と精度が必要になり、DACをいくつも組み合わせ、キャリブレーションにより精度を保つ制御用DACが使われていました。しかし最近ADI社より20bit分解能、1ppm精度の電圧出力DAコンバータ、AD5791が発表されました。まだサンプル出荷の段階ですが、モノリシックICとして1ppmの精度を保証した始めてのコンバータです。もともとの開発目的は、このMRIの傾斜磁界制御用ですが、これほどの精度と低コスト(他のソリューションにくらべて)になると、MRI以外にもいろいろな応用が考えられるでしょう。 ご興味のある方は、下記のデータシートをご覧ください。
http://www.analog.com/static/imported-files/data_sheets/AD5791.pdf